ワクチン抗体価検査が
必要な理由

ワクチン抗体価検査は、体内に今現在どれくらいの抗体が残っているかを調べる検査です。

数値によって、

  • ワクチン効果が不十分
  • ・現時点でワクチン効果があるが、1年以内の接種もしくは再検査が必要
  • 十分な(長期間の)ワクチン効果が認められる
といったクラス分けをして数値とともに結果をお送りします。

この数値を把握することで、

  • 初年度ワクチン接種(2~4回)を終えた子猫の重要な感染症に対する抵抗力
  • ・治療や体質など様々な事情でワクチン接種を避けたい猫の重要な感染症に対する抵抗力
を把握し、外出やほかの猫との接触について判断することができます。

つまり、ワクチンが打てなくても抵抗力があれば通常の猫と同様に他の猫との触れ合いや外飼いも可能であると判断できます。

ワクチン抗体価検査は、このようなケースの判断材料としてとても有効な検査なのです。


ワクチンの仕組みと効果

そもそもワクチンは、どうやって感染症から身を守るのでしょうか。
ワクチンは、動物の体が持つ免疫力を応用した防御手段です。

簡単に言うと、『初めて見る外敵にはなかなか勝てないけれど、一度練習しておけば、大丈夫。』という考え方です。

とはいえ、感染した場合、重篤な症状を引き起こす感染症に、抗体獲得のために意図的に感染させるのはあまりにもリスクが大きすぎます。そこで、実際に発症しない程度に毒性を弱らせたものを意図的に体内に入れ、発症を伴わずに抗体を作れるように開発されたものがワクチンというわけです。

それぞれの感染症に対して1対1の関係で抗体が存在するため、すべての感染症に有効なワクチンというものは、存在しません。そこで感染力の強いものや発症すると重篤な症状を引き起こすものを優先し、さらに猫の飼育環境なども加味してどのようなワクチンを接種するかを決めるわけです。

室内飼いで他の猫との設定が無い場合でも、飼い主の洋服や靴の裏、もしくは他の猫を触ったときなどに体に付着してウイルスが侵入してくる場合があります。ワクチン抗体価が不十分な状態であると判明した場合は、できるだけ早くワクチンを接種するようにしましょう。

-tips-

ワクチンを打ったのに……
一部の猫の感染症のワクチンは、ウイルスの特性上、ワクチンの効果として、完全防御ではなく発症時の症状緩和とウイルス排泄量の抑制を目的としたものがあります。
詳しくは「猫のワクチンの効果と目的を見極める」の項目をご覧ください。


ワクチン抗体価検査の
検査結果について

当社(マルピー・ライフテック株式会社)のワクチン抗体価検査は、感染した場合、重篤な症状を引き起こす可能性が高い、3つの感染症に対してのワクチン抗体価検査をご提供しております。

  • 1.猫パルボウイルス感染症(FPV)
  • 2.猫カリシウイルス(FCV)
  • 3.猫ヘルペスウイルス1型(FHV-1)

1については、当該ウイルスに対するワクチン効果および発症防御能を数値化して評価します。
2・3については、ワクチンの効果について数値化して評価するものです。この2つについては、猫パルポウイルスワクチンのような発症防御能を持つ(完全防御を期待できる)ものではなく、感染症の症状軽減とウイルスの排泄量の低減が目的になります。

検査結果は、それぞれのウイルスに対する抗体価を測定し数値化して獣医師へ返送いたします。
数値については、2つの基準値を基に3段階に分類されます。

●猫パルボウイルス(FPV)の場合
・基準値(発症防止レベル)以下
ワクチン接種、または感染を避ける生活
・発症防御レベル
発症防御能を保持している
・推奨レベル
長期間(1年以上)の発症防御能の保持が期待できる
●猫カリシウイルスワクチン(FCV)・猫ヘルペスウイルス1型(FHV-1)の場合
・基準値(最低限のワクチン効果判定レベル)以下
ワクチン接種、または感染を避ける生活
・発症軽減およびウイルス排泄量低減レベル
最低限のワクチン効果判定レベル
・推奨レベル
長期間のワクチン効果を維持するために保有するべきレベル

検査後のワクチン接種方針は、検査結果と愛猫の飼育環境(1匹飼いor多頭飼い、室内飼いor外飼い、ペットホテルの利用の有無など)を合わせて、かかりつけの獣医師とよくご相談ください。